相続対策、ウチもそろそろ‥‥と思ったら行うこと

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ご自身やご家族に「相続対策」という言葉をあてはめた時、どのようなことが頭に浮かびますか?「相続税」「財産の分け方」「生前贈与」‥‥。被相続人となる人の財産や相続人となる人の人数等、いろいろな条件によって必要な相続対策は変わってきますが、対策を間違ってしまうと相続人どうしで争いが起こってしまったり、相続税の負担が思ったより大きくなってしまうこともあります。

今回は相続対策を進める時に、どのような点に注意すればよいのか、基本的な考え方をお伝えします。

何から始めればいい?

相続税は少なくなったけど相続人同士が揉めてしまった、対策が不十分だったので不動産を売ることになってしまったなど、たとえ生前に対策を行っていたとしても、遺された相続人にとっては必ずしも有効な対策が行われていたとは言えないケースもあります。

このようなことにならないために、できるだけ有効な対策を色々な面から検討・実行していく必要があるのですが、はじめに行うことは対策を考えることではなく「人や財産の確認・把握」です。

「人」については、相続人となる人(推定相続人)が誰なのかの確認である。配偶者・子・親・兄弟姉妹など、だれが相続人になるのか、また年齢・性別やどこに住んでいるのか、「代襲相続人」となる人はいるのか、などを確認しておく必要があります。家系図を作成してまとめておくと全体像を把握することができます。

「財産」については、預貯金・有価証券・不動産・自社株式・負債など、被相続人となる人がどのような財産をどれくらい持っているのかを確認します。ただし不動産とくに土地は、評価の方法によって「相続財産としての評価額」が大幅に変わることがあるため、複数の土地をお持ちの場合には、知識・経験が豊富な専門家に評価を依頼することも検討します。

まずは相続対策を考える前にこの作業を行い、対策を進めた後も定期的に「人・財産」に増減や変更が無いかを定期的に確認します。この確認作業をしないと、当初考えていた相続対策の効果が減少してしまう、などのデメリットが生じてしまうことがあります。このため、現状の確認とあわせて定期的な確認もおこなうことが大切です。

どんな相続対策が必要?

現状の確認を行ったあとは、次の3つの大きな対策のうち、どの対策が必要になるのかを検討していきます。

1つめは「遺産分割対策」です。誰にどの財産を相続させるかを事前に決めておく対策です。特定の財産を特定の人に相続させたい場合や、分割しづらい財産がある場合等は、遺産分割対策と合わせて遺言書を作成することにより、被相続人の遺志を形にできるほか、遺された相続人間の争い事を無くすことも可能となります

また「生前贈与」も相続が発生する前に財産を特定の人に引き継がせることができるため、被相続人となる人の意向を反映した遺産分割対策が行えると言えます。

2つめは「納税資金対策」。現状を確認した結果、相続税の納税が発生する可能性が高くなった場合、遺された相続人の納税方法を検討しておく作業です。相続した現金や相続人の財産からの納税の他、相続した不動産を売却して納税資金に充てる計画や生命保険を活用して納税をする方法、被相続人となる人が生前に賃貸物件を購入し納税資金を確保する方策等が考えられます。

最後に「税負担軽減対策」。いわゆる節税対策ですが、遺された相続人の税負担が思いのほか多くなると想定される場合等に、現状で合法的にできる対策を検討していきます。生命保険の活用や所有地への賃貸物件の建築、子や孫への生前贈与の他、適正な土地評価による相続税評価額の減額等も対策の一つとなります。

対策に優先順位をつけて考える

人と財産の確認をしたうえで、上記の3つの大きな相続対策のうち、どの対策をはじめに行うべきかを検討し、その後に具体的な方策を考えていきます。それぞれの家庭の事情等によって必要となる対策は様々ですが、一つだけ言えることは、納税対策・節税対策といった税金対策ありきでは根本的な相続対策にはならないということです。

まずは揉め事や争い事が無く、スムーズに次世代に財産を継承する遺産分割の対策を考え、その上で相続税が発生する場合には納税資金を確保する方策や税負担を軽減する対策を考えたほうが、財産を遺す側にとっても安心でき、財産を引き継ぐ側にとってもメリットがあるのではないでしょうか。

そのためには、まずは現状を確認したうえで、ご自身・ご家族にとって最適な相続対策とは何か、優先順位をつけて考えていただきたいと思います。